J・ノイマイヤーの芸術

2月4日、上野は文化会館で上演しているJ・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団「椿姫」を観た

 

ノイマイヤーの「椿姫」は私がかねてから生の舞台で観たかった作品で、この日のマルグリット役がA・コジョカルだったのもラッキーだった

 

作品はいかにもノイマイヤーらしく緞帳は初めから開け放しの状態から無音の中ダンサーが登場するところから始まった

 

ショパンの耳慣れた<ピアノ協奏曲2番>の曲と共に本筋の1幕が展開していき、艶やかな高級娼婦と紳士達の宴会シーンの中マルグリットとアルマンの出会いと恋が踊り紡がれてゆく

 

コジョカルは現役のダンサーとしては既に若くはなく一昨年の”世界バレエフェスティヴァル”で観たF・アシュトンのシンデレラ(ACT3)のパ・ド・ドウでは今ひとつ冴えが無かったように記憶している

 

しかし、今回のマルグリット役は年齢を感じさせるものは微塵もなく、アルマン役の若手ダンサー相手に終始彼女の演じるマルグリットの迸る情熱が私に直に伝わってきていた

流石!と言うほかは無い

 

そして流石!と言えばノイマイヤーの動きと音楽が見事に融合した卓越した演出振り付けである

 

私は残念なことに彼の作品の多くを生の舞台で観ることが出来ていない

過去に観たのはは「オテロ」「白鳥の湖のように」ほか抜粋された小品幾本かのみで、「アンナ・カレーニナ」や「人魚姫」は未だに観れなかったことを深く悔いている

 

それだけに今回は期待が大きくチケットを購入したときからずっとこの日がくるのを楽しみにしていた

 

「椿姫」は当然のごとく私の大きな期待に充分に応えて終演し、カーテンコールでは拍手の中、ステージ上手からJ・ノイマイヤー氏が挨拶に登場すると会場は更なる賞賛の拍手に包まれた

 

この日、単に”バレエ”を超えたと言っても過言ではないノイマイヤーの偉大とも言える芸術に触れることができた私は、改めて”バレエ”の底深い魅力に取り憑かれて藤沢への帰路に着いたのだった

 

*文章の中での登場人物に対しての敬称は文章を纏める都合上削除させていただきました