10年振りの再会

「島田廣先生を偲ぶ会」には先生が天国から取り持って下さったかのようなもう一つのお話があります。

 

この日はバレエ界の重鎮から若手ダンサーまでの400名近い人が先生のご冥福と献花に訪れました。その中には当スタジオ出身の上野水香さんの姿もあり、彼女のダンサー仲間はともかくも、牧先生や私は10年振りに顔を合わせることになりました。

 

セレモニーが終了後に皆がそれぞれ挨拶を交わす中で、水香さんが不安そうに牧先生に挨拶をすると牧先生はにこやかに対応してくださり「たまにはバレエ団にも遊びにいらっしゃい・・・」とのお言葉!

とたんに水香さんの目からは大粒の涙で、今度は私に「遊びに来てもいいっていってもらえましたー」と抱き着いてきました。(10年前に私は水香さんに「牧先生のお許しの言葉が無い限り今後一切お付き合いすることは不可能!と告げてたので)

近くで様子を見ていた青山季可さんまでもらい泣きの涙・・・

 

彼女が牧阿佐美バレエ団から現在の東京バレエ団に移籍する際には様々な行き違いが生じてバレエ団同士の間も一時ぎくしゃくしてしまいました。当然私と水香さんの関係も今まで通りとはいかず、全く交信を絶っていましたが牧先生のお心の広い暖かな一言で10年間の固い氷が溶け出したようです。

 

帰りの電車のなかで・・・島田先生が天国でニヤニヤしながら、ミンナで仲良くバレエ界を盛り立てなさいョ・・・と仰ってるのかしら?  と私も少しホホを緩ませながら帰ってきました。